東京都江戸東京博物館は、1993年(平成5)3月28日の開館以来、江戸から東京の歴史を豊富な資料と模型を用いて紹介する博物館として親しまれています。広さ約9,000平方メートルと広大な常設展示室内には、日本橋や芝居小屋、新聞社の社屋が実物大で再現され、また演出が凝らされた可動式の模型や体験型の模型などを要所に配置し、多くの来館者を楽しませてきました。このダイナミックな展示空間を有する江戸東京博物館は、2022年(令和4)4月1日より、大規模改修工事実施のため長い休館期間に入りました。
江戸東京博物館の分館として同時に開園した江戸東京たてもの園は、都内に現存した歴史的建造物を移築復元して公開するほか、展示室内では建築や多摩の歴史など、様々なテーマの特別展を開催しています。今回、長い休館に入った江戸東京博物館の常設展をコンパクトにまとめ、展示されていた資料や模型に加え、当園の前身にあたる武蔵野郷土館が収集した資料も交えながら、東京が歩んできた歴史を振り返ります。
東京では、約1万6千~3万8千年前の旧石器時代の遺跡が見つかっています。その後、時代を重ねるごとに東京は様々な姿に変ぼうしていきました。この章では、旧石器時代から戦国時代までの流れを、複製資料や模型などを活用して紹介します。
1590年(天正18)、関東に入った徳川家康は江戸を本拠地とし、1603年(慶長8)に征夷大将軍となると、この地に幕府を開きました。以来約260年にわたって栄華を誇った江戸時代の出来事や文化を、様々な資料を通して取り上げます。
明治時代に入った東京では、新政府主導のもと、近代国家にふさわしい首都の建設がすすめられました。また西洋の知識や技術が積極的に導入され、「近代東京」が形作られてきました。しかし、1923年(大正12)の関東大震災や1945年(昭和20)の東京大空襲で、東京は二度も灰燼に帰してしまいます。この章では近代東京のあゆみを振り返ります。
戦後まもなく、人々は物不足と食糧難に苦しみましたが、国内の製造業が復興し、昭和30年代頃から高度経済成長期に入りました。また経済的に豊かになり、労働者の賃金も上昇、家庭電化製品がまたたく間に普及しました。急速な発展を遂げた東京の姿を紹介します。
資料写真 ①太刀形埴輪 大田区観音塚古墳出土 古墳時代後期 ②上水高札 1739年(元文4)12月 ③名所江戸百景 大はしあたけの夕立 1857年(安政4)9月 歌川広重/画 [展示期間:7月26日(火)〜8月28日(日)] ④婦人標準服 昭和前期 [展示期間:6月25日(土)〜10月30日(日)] ⑤絵葉書「浅草公園第六区」 1919年(大正8) ⑥ミニチュア台所道具 明治時代 ⑦東芝攪拌式洗濯機P型 1954年(昭和29) ⑧龍文染付水注(複製・八王子市八王子城址出土) 安土桃山時代 ⑨久留米藩士江戸勤番長屋絵巻(複製) 1840年(天保11) ⑩旧鹿鳴館の持送り 1883年(明治16) ⑪畑をたがやす女性(新橋・有楽町付近) 1945年(昭和20) G・フェーレイス/撮影 PPS通信社
※①②⑧ 江戸東京たてもの園蔵、③〜⑦、⑨〜⑪東京都江戸東京博物館蔵
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